Harukamy's Memoranda

ATV EXS

概要

ATV EXSはATVの新しいシンセ・ドラムだ。 ATVは元々はRolandでV-Drumsを作っていた人が作ったメーカーで、aD5という音源モジュールを最初に、そしてこれをキット化したaDrumsを次にリリースした。 aDrumsはTD-50キットクラスのハイエンドモデルで、キッズドラムのような外観が特徴的。

そのATVが新しいxD3音源モジュールと共にリリースしたキットがEXSシリーズだ。 太鼓部分が薄く、バスドラムもシェルのないものになっており、普通の電子ドラム感がある。 aDrumsではラックを使わず、またロータムのない構成だったが、上位モデルのEXS-5で2タム1フロア、2シンバルの構成になっており、より普通だ。

叩く

試打は島村楽器ラゾーナ川崎プラザ店で行った。 スティックは私が普段使っているVATER SESSION、キックペダルはスピードコブラだった。

叩いてすぐ分かるのが、反発が非常に強い。aDrumsも反発が強いのだが、マイルドで軽快なのに対し、EXSはばいんばいんと堅い反発である。 これはARESISに似ている。もっといえば、とても網戸っぽい。 実のところこれはこれでとても叩きやすいのだが、生ドラムの感覚からは完全に乖離している。

しかし、「ARESISのような劣化ドラム」をイメージしているのならそれは違う。ATVのセンサーは極めて優秀であり、強弱もしっかり捉え、素晴らしい反応を示してくれる。

ただ、aDrumsのような打点検知はできない。位置付けとしては、TD-17KVXに近く、トレーニング用であるらしい。 実際に価格的にもTD-17KVXに近い。

叩き心地は網戸だが、表現力は申し分ないのがEXSのパッドだ。シンバルはいかにもATVらしく、自然な揺れでTD-50キットのものより良い。

キットは5種類で、エディットはできない。ロックキットが3つ、ジャズキットな1つ、パーカッションが1つだが、近年の邦ロックやアニソンで使われるような音色がなくやや使いにくい。 いくつかのキットがストアで無料で追加可能だ。

音色は非常に豊かな表現力を誇るaDrumsと比べ明確に電子ドラム感のあるもので、ダイナミックス表現も劣るように感じる。ただし、センサー自体はちゃんと拾ってくれるので、pppからfffまで表現可能。sfzはちょっと物足りないけど。

特徴的なのはペダルハイハットの音が派手で、がっしゃん言うこと。 非常にわかりやすく、気持ちいいが、寡聞にして私はこのような音を発するハイハットを知らない。 EXSはキットのエディットができないため、欠点となりうる。

クロススティックは可能だが、クローズドリムショットはできない。

使う

xD3の拡張端子はシンバル一枚のみで、EXS-5からは追加できない。 キットのエディットもできないため、基本的にはあるがままで遊ぶものと言えそう。

USB接続も可能。センサー感度が良く、ばいんばいん跳ね返ることもあり、インターフェイスとして使うのなら非常に良いと思う。 DTMerに適しているのはもちろん、DTXManiaプレイヤーにとっても、そこそこ手頃でdrummaniaにはない素晴らしい叩き心地を提供してくれるインターフェイスとして良いと思う。 もちろん、あくまでdrummaniaの曲のみをプレーするのであれば、EXS-3でも構わない。

トレーニング機能、ソング機能、AUX in、レコーディング機能などを搭載し、練習にはちょうど良い感じでもあるが、ここらへんの機能はやはりRolandと比べると弱め。

総評

EXS-5は間違いなく、「ライバルはTD-17KVX」というモデルである。

ドラムを始める人のエレクトリックドラムによし、あるいはTD-1, TD-4といったエントリーモデルを持っている人、もしくはTD-11のような旧モデルを持っている人のアップグレードによし、といった感じだ。

トレーニングモデルだから、あまり費用をかけずに練習のためにエレクトリックドラムが欲しい(本番は、ライブなりスタジオなり別にある)という人にもいいだろう。 あるいは将来的な叩いてみた動画やミュージッシャンとしてのデビューに備えるものとしても悪くない。

一方、「最高ではない」「aDrumsに代わるものではない」という点には気をつけたい。 打感の自然さが不足しており、そのたたき心地がどちらがいいかと言うと明確にaDrumsであると答えることができる。

EXS vs aDrumsという話をするのであれば、サウンドといい、叩き心地といい、ドラマーをいい気分にさせてくれるのがaDrumsだ。 これと比べると、EXSの場合特別不満があるわけではないが、あくまでエレクトリックドラムを叩いている感覚というか、とにかくテンションが違う。 aDrumsだと「最ッ高に気持ちいい!!」となるのだけど、EXSだと、「あぁ、いいね!」って感じ。 値段は倍くらい違うのでだいぶ悩ましい。

EXS vs TD-17KVXであれば、叩き心地ではシンバルも含め気持ちいいのがEXSで、TD-17KVXはもっとナチュラル。スネアの叩き心地以外で言えば、総合的にEXSが上。 サウンドはxD3のほうが自然で、派手で迫力があるのがTD17。表現力もEXSのほうがいい。 モジュール機能的にはTD17のほうがより高機能で色々遊べる。 お値段はEXS-3でもTD-17KVXよりも高く、これだと見劣りする面もある。EXS-5はパッドが明らかに良いので、その「一段上」という感覚どおり、一回り高くなる。

とてもとても悩ましい選択になりそうだ。予算が許すならTD-17KVXよりもEXS-5のほうが良いと思うが、値段差を考えると、TD-17KVXだっていいじゃないか、ということになってしまう。 電子ドラムで遊びたい人はTD17のほうがいい。ドラムをありのまま叩きまくるのが目的という人はEXSのほうがいい。

それと比べるとaDrumsとの比較はわかりやすい。「ドラムとして叩きたい」という人はaDrumsがいいし、 あくまで練習道具、あるいはインターフェイスだという人ならEXSが良いのではないだろうか。

Wrote on:
2019-09-13

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